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外壁タイルのデメリット7つとメリット5つ|元タイル開発者が対策も解説

築約10年の陶板外壁を斜めから見た様子

外壁タイルは、焼き物ならではの質感や重厚感があり、色あせや傷に強い外壁材として知られています。一方で、「本当に塗り替えはいらないのか」「デメリットはないのか」「一般的なタイルと陶板外壁は同じものなのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

先に結論をお伝えすると、外壁タイルの主なデメリットは、初期費用が高くなりやすいこと、施工品質で耐久性が変わること、目地や下地などタイル以外の点検が必要なこと、部分補修で色差が出やすいこと、選べる住宅会社や張り方に制限があること、汚れないわけではないこと、重さがあることの7つです。どれも、採用前に確認しておけば後悔を減らせるものです。

注意したいのは、表面のタイルが丈夫であることと、外壁全体の点検が不要であることは同じではない点です。下地、接着材、目地、窓などの開口部を含めた外壁全体として考える必要があります。

私はタイルメーカーで長く商品開発に携わり、我が家では住宅会社専用の陶板外壁を採用して約10年間暮らしています。現在まで外壁への不満や大きな心配はありません。この記事では、外壁タイルのデメリットとメリットを、対策と我が家の実体験もまじえてわかりやすく整理します。

目次

外壁タイルのメリット・デメリット早見表

メリットデメリット
色あせしにくく外観を保ちやすい初期費用が高くなりやすい
傷や汚れに強い商品が多い施工品質によって耐久性が左右される
塗り替えの負担を抑えやすいタイル以外の部分には点検や補修が必要
焼き物ならではの質感と高級感がある部分補修では廃番と製造ロットの色差に注意
火に強い素材である選べる住宅会社や張り方が限られることがある
汚れないわけではない
重さがあり、建物によっては張れないタイルもある

それぞれの内容と対策は、このあと詳しく解説します。

外壁タイルとは

外壁タイルは、粘土や長石などを原料として成形し、高温で焼き固めた外装用の建材です。焼き物のため表面が硬く、紫外線による色の変化や日常的な擦り傷が起こりにくい傾向があります。ただし、性能はタイルの種類や使用条件によって異なります。

住宅では、接着材で張る方法や専用下地へ固定する方法などがあり、製品と施工方法によって構造や特徴が異なります。

外壁タイルは、建物を支える構造材ではなく、外壁表面を仕上げる材料です。実際の外壁は、タイルだけでなく、下地、防水層、接着材や固定部材、目地などを組み合わせて構成されています。そのため、タイル単体の特徴と外壁全体の性能を分けて考えることが大切です。

陶板外壁と窓まわりの納まり
窓まわりや目地など、タイル以外の部分も含めて外壁全体を確認します。

外壁タイルとタイル調サイディングの違い

外壁タイルは、焼成したタイルを下地へ張る、または専用部材へ固定する仕上げです。一方、タイル調サイディングは、板状の外壁材の表面にタイルの柄や凹凸を表現したものです。見た目が似ていても、材料や施工方法は異なります。

また、サイディングを下地として、その上へタイルを施工する製品などもあります。名称だけでは仕組みが分かりにくいため、表面材、下地、固定方法、目地やシーリングの位置まで確認しましょう。

陶板外壁は商品ごとに仕組みが異なる

陶板外壁も焼き物を使った外壁ですが、一般的な小さなタイルとは大きさや形、固定方法などが異なる場合があります。また、住宅会社が独自に開発・採用している専用商品もあります。

「タイル」「陶板」という名称だけで同じ性能だと判断せず、採用する商品の仕様書や保証書を確認しましょう。この記事で紹介する我が家の経験も、住宅会社専用の陶板外壁についての一例です。

外壁タイルの5つのメリット

外壁タイルには、焼き物の性質を生かした耐候性や意匠性などのメリットがあります。ただし、すべての製品に同じ性能があるわけではありません。採用する商品の仕様や施工条件を確認したうえで判断しましょう。

1.色あせしにくく外観を保ちやすい

タイルは無機質の焼き物で、紫外線の影響による色あせが起こりにくい傾向があります。塗装で色を付けた外壁材と比べ、長期間にわたって色や質感を保ちやすいことがメリットです。

ただし、汚れ方や色の見え方は、商品の表面加工、日当たり、周辺環境などによって変わります。「まったく変化しない」と考えず、長期間使われた施工例も確認しましょう。

2.傷や汚れに強い商品が多い

高温で焼き固めたタイルは表面が硬く、日常的な擦り傷が付きにくい傾向があります。また、吸水率が低い外装用タイルや、雨水で汚れを流れやすくする表面加工を施した商品もあります。

ただし、強い衝撃を受ければ割れたり欠けたりする可能性があります。凹凸の深い柄や設置環境によっては汚れが残ることもあるため、商品の特徴と掃除方法を確認しましょう。

3.塗り替えの負担を抑えやすい

焼き物であるタイル自体は、一般的な塗装外壁のように表面を定期的に塗り替える必要が少ないことがメリットです。初期費用は高くなる傾向がありますが、長く住む間の塗装費用や検討の手間を抑えられる可能性があります。

ただし、目地、シーリング、下地、窓まわりなどは別です。タイル面に塗り替えが必要ない商品でも、外壁全体の点検や部分補修まで不要になるわけではありません。

「メンテナンスフリー」の範囲と築10年前後に見る場所は、外壁タイルの10年後の点検ポイントも参考にしてください。

4.焼き物ならではの質感と高級感がある

外壁タイルには、焼き物ならではの厚み、凹凸、つや、自然な色の濃淡があります。光の当たり方によって陰影が生まれ、外観に重厚感や奥行きを出しやすいことも魅力です。

日なたと日陰で見た陶板外壁の凹凸と横方向の意匠
焼き物ならではの凹凸と横方向の意匠。光の当たり方で陰影の見え方が変わります。

石目調、レンガ調、土ものの風合いなど、色や柄の選択肢も豊富です。一枚ずつ張るタイルなら、目地の幅や目地を詰めるかどうかなど、張り方のデザインをある程度選べるのも魅力です。ただし、小さなサンプルと建物全体では印象が変わるため、大きな見本や実際の施工例で確認しましょう。

5.火に強い素材である

高温で焼成されたタイル自体は燃えにくく、熱に強い素材です。外壁材を選ぶ際に、防火性を重視する方にとって検討材料の一つになります。

ただし、住宅の防火性能や耐火性能はタイルだけで決まるものではありません。下地、断熱材、施工方法などを含む外壁全体の認定によって決まるため、採用する仕様の認定内容と適用条件を住宅会社へ確認しましょう。

外壁タイルの7つのデメリットと対策

外壁タイルには多くのメリットがありますが、価格や施工、将来の補修などで注意したい点もあります。良い面だけでなく、次のデメリットと対策を理解してから採用を判断しましょう。

1.初期費用が高くなりやすい

外壁タイルは、一般的なサイディングや塗装仕上げと比べ、材料費や施工費が高くなる傾向があります。専用下地や固定部材が必要な商品では、外壁全体の工事費も大きくなる場合があります。

対策:初期費用だけで判断せず、将来の塗装、洗浄、目地補修、点検、足場などを含めた長期的な費用で比較しましょう。サイディングとの価格差と20年後までの維持費は「外壁タイルとサイディングの価格差は?初期費用と20年の維持費で比較」で比べています。

外壁材を比較する順番や確認項目は、外壁タイルの選び方で詳しく解説しています。

2.施工品質によって耐久性が左右される

タイル自体が丈夫でも、下地処理や接着、固定が適切でなければ、ひび割れ、浮き、剥がれなどが起こる可能性があります。タイルと接着材、下地の組み合わせが、その施工方法に適していることも重要です。

対策:採用前に、施工方法、品質管理、完成後の検査、施工会社の実績を確認しましょう。不具合が見つかった場合の連絡先や対応方法も聞いておくと安心です。接着剤の種類と確認ポイントは「有機系接着剤とは?外壁タイル用の種類・JIS A 5557・選び方を解説」で整理しています。

3.タイル以外の部分には点検や補修が必要

タイル表面の塗り替えが不要でも、目地、シーリング、窓や換気口のまわり、下地、金属部材などは経年変化します。定期点検で、ひび割れ、隙間、浮き、雨水の跡などを確認する必要があります。

対策:高い場所の点検や補修では、足場が必要になることもあります。「タイルだからメンテナンスフリー」と考えず、外壁全体の点検予定と将来費用を契約前に確認しましょう。

4.部分補修では廃番と製造ロットの色差に注意

焼き物のタイルは天然由来の原料を多く使い、焼成温度や窯内の状態などによって自然な色幅が生まれます。同じ品番でも製造ロットが異なると、色合いにわずかな差が出る可能性があります。この濃淡は魅力にもなりますが、後から一部を交換するときには色の違いが目立つことがあります。

サイディングにも、生産工場やシリーズが異なる製品を混ぜて施工できない商品があります。また、既存の外壁は日差しや雨を受けているため、同じ色名の新しい材料を使っても完全には同じに見えない場合があります。

街では、家と車庫が同じような色でも、少し違って見える例があります。外から原因を断定することはできませんが、施工時期、製造ロット、経年変化などが関係する可能性があります。

対策:別棟や増築を予定している場合は同時に手配できるか確認し、商品名、品番、色番号、製造ロット、施工時期を記録しておきましょう。廃番時の補修方法や交換材の入手についても、契約前に確認すると安心です。割れや浮きが見つかったときの依頼先は「外壁タイル補修業者の選び方|依頼先4つと見積書で確認したい14項目」で解説しています。

5.選べる住宅会社や張り方が限られることがある

大手住宅会社の中には、独自の外壁材や専用の施工方法を採用しているところがあります。気に入った外壁材が住宅会社の専用商品であれば、ほかの会社では選べない場合があります。

また、タイルを張る下地は、住宅会社が自社の構造に合わせて指定していることがほとんどです。下地によっては、希望のタイルを張れなかったり、目地の幅など張り方のデザインに制限が出たりすることもあります。

私はタイルメーカーで働いていた頃、外壁材が住宅会社の特徴を伝える重要な商品の一つであると感じていました。お客様から「あちらの住宅メーカーではこのタイルを張れると言われたのに、なぜここでは張れないの?」と聞かれたことも何度もあります。見た目が似ていても、構造や工法が違えば、施工できるかどうかも価格も変わります。

対策:どうしても使いたい外壁材がある場合は、住宅会社との契約前に採用できるか確認しましょう。専用商品には独自の保証が用意されている場合もありますが、保証、点検、将来の補修窓口まで含めて比較することが大切です。

6.汚れないわけではない

外壁タイルは汚れにくい外壁材ですが、汚れない外壁材ではありません。汚れ方は、日当たりや風通し、周りの道路や畑、木の多さなど、家が建つ環境に大きく左右されます。

また、濃い単色のタイルでは、砂ぼこりや水あかなどの白っぽい汚れが、かえって目立つことがあります。

対策:汚れが目立ちにくいのは、1枚の中や何枚かの間に濃淡がある「色幅」のあるタイルです。建て替えなら今の家の汚れ方、新しい土地なら日当たりや風通しを見て、色を選びましょう。汚れの後悔と対策は「外壁タイルで後悔しないために|一番多い「汚れ」の対策と7つの注意点」で詳しく紹介しています。

7.重さがあり、建物によっては張れないタイルもある

外壁タイルは焼き物なので、サイディングと比べて重さがあります。たとえばLIXILの外装壁タイル「火色音(ひいろね) ほのか」ボーダー[セミ面]は、カタログの数値から計算すると、タイルだけで1㎡あたり約20.7kgです。張付材や目地材を加えると、さらに重くなります。

家は、外壁の重さも含めて地震に耐えられるように設計されています。そのため、建物の構造や下地によっては、希望のタイルを張れない場合があります。

対策:壁全体の正確な重さを施主が自分で調べるのは現実的ではありません。希望のタイルがある場合は、住宅メーカーに張れるかどうか、外壁の重さを含めて構造設計されているかを確認しましょう。重さの計算方法は「外壁タイルの重さと耐震性|kg/㎡の確認方法と耐久性・凍害の注意点」で解説しています。

我が家の陶板外壁は約10年後も不満なし

我が家では住宅会社専用の陶板外壁を採用し、約10年間暮らしています。これまで塗り替え、外壁全体の洗浄、補修は行っていません。定期点検でも問題はなく、現在のところ不満や心配事はありません。

建築前には、焼き物なので色あせや傷の心配が少なく、タイル表面の塗り替えは必要ないと説明を受けました。耐火性や耐久性には保証があり、シーリングについても約30年間を想定した耐久性の説明だったと記憶しています。釘などによる傷を想定した試験も見せてもらいました。

ただし、これらは我が家が採用した商品の説明であり、すべての外壁タイルに当てはまるものではありません。保証期間やシーリングの耐久性は、現在の商品資料と保証書で確認してください。

当時は住宅会社を信用し、補修はほとんど必要ないと考えていたため、破損時の補修方法までは覚えておらず、交換用の外壁材も保管していません。現在まで困ってはいませんが、廃番の可能性を考えると、部分交換の方法や将来の入手可否も契約前に確認しておくことが大切だと思います。

外壁タイルが向いている人

外壁タイルは、焼き物の質感や重厚感を重視する人、長期間住む予定があり、将来の塗り替え負担を抑えたい人に向いています。初期費用だけでなく、10年後、20年後、30年後まで含めて予算を考えられることも大切です。

一方、建築時の費用をできるだけ抑えたい人、将来の増築や部分交換を予定している人は、補修方法や交換材の入手について慎重に確認する必要があります。使いたい外壁材が住宅会社の専用商品である場合は、契約前に採用可否と保証内容を確認しましょう。

まとめ|外壁タイルはデメリットも知ったうえで選ぶ

外壁タイルは、焼き物ならではの耐候性、傷への強さ、質感があり、塗り替えの負担を抑えやすい外壁材です。一方で、初期費用、施工品質、目地や下地の点検、将来の部分交換、住宅会社や張り方の制限、汚れ、重さには注意が必要です。

「外壁タイル」という名称だけで判断せず、表面材、下地、固定方法、保証、点検予定まで確認しましょう。タイル自体が丈夫でも、外壁全体のメンテナンスが不要になるわけではありません。

我が家の陶板外壁は約10年後も不満なく、選んでよかったと感じています。ただし、住宅会社の専用商品、廃番、製造ロットによる色差など、契約前だからこそ確認できることもあります。長く暮らす家だからこそ、メリットとデメリットの両方を理解して選ぶことが大切です。

参考資料

この記事では、次の公的機関・業界団体・メーカーの公式情報も確認しました。

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この記事を書いた人

いずみのアバター いずみ 元外壁タイルメーカー商品開発(20年)・元ハウスメーカー(10年)

住宅業界に10年、タイル業界に20年携わってきた「外壁と暮らしの手帖」の管理人です。外壁タイルの製品特性、施工方法、耐久性、点検・補修に関する知識と、築約10年の陶板外壁住宅での実体験をもとに、メーカーの技術資料や公的・業界基準を確認しながら、施主が判断しやすい情報を発信しています。

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